チーム医療への貢献で院長賞を受賞

「チーム医療」という言葉に代表されるように、医療機関は職種を超えた連携が求められる職場です。こうしたチーム連携は、病院現場から自然発生的に生まれてきますが、医療の質の向上や業務効率化を推進する観点から、モデル的な取り組みを表彰する病院も多いようです。

大阪市にあるJCHO大阪病院では、職員が主体的に行うチーム連携の取り組みを表彰する制度を設けています。その表彰式で、障害のあるスタッフをメンバーとする薬剤部の取り組みが表彰されました。「チーム薬助」と名付けられた取り組みは、3名の障害者を含む薬剤助手がチームを組んで、薬剤師の業務軽減を図るものです。3名のスタッフは、障害のためにできない作業もありますが、軽作業やデスクワークなどそれぞれの能力を発揮できる仕事を選択し、相互に補い役割分担することで、チーム全体で薬剤助手の能力を発揮できているそうです。

身体障害のあるスタッフは、輸液ケースなど重い物の運搬はできませんが、作業内容は正確で慎重なため、中止薬の整理や軽量薬品の搬送などの軽作業、統計などのパソコン入力等を担当しています。

身体障害のある別のスタッフは、長時間の立ち仕事はできませんが、座って行うパソコン作業には習熟しているため、資料作成や台帳更新等の事務作業、薬品払い出しの準備、お薬コーナーでの窓口対応などを担当しています。

知的障害のあるスタッフは、持久力があり俊敏に動けることに加え、単純反復作業は得意で、作業は几帳面で記憶力も良いことから、全病棟から返却される注射薬払出しカートやトレーの清拭・清浄化、返納医薬品の仕分けなどを担当しています。病棟から返納されるカート内のトレーを1日1,500枚も清拭しています。

彼ら3名を含む「チーム薬助」の活動のおかげで、薬剤師が病棟に出向く時間が捻出でき、服薬指導件数の増加にも貢献しているそうです。「院長賞」を受賞したことで、自分たちの仕事に対する自信も芽生え、毎日充実して働く姿が目に浮かぶようです。