診療報酬の加算維持に貢献する

病院の病棟では、有資格の看護職員に加え、看護補助者がベッドメイク等の補助的業務に従事しています。急性期病院で病棟に一定数以上の看護補助者を配置している病院では、診療報酬の「急性期看護補助体制加算」(1日につき160点~80点)が算定できます。

関東地方にある公的病院では、これまで「急性期看護補助体制加算」を算定してきましたが、年々看護補助者の応募が減り、「急性期看護補助体制加算」の施設要件である患者数対比での看護補助者数の確保が困難になってきました。加算がなくなれば年間数千万円の収入減となり、経営にも大きな影響を与えます。病院側は人材募集に努めましたが、景気回復の影響もあり、見通しは厳しくなるばかりでした。

こうした状況を救ったのが、障害のあるスタッフ達でした。病棟のラウンジ清掃やベッドメイクなど、以前は看護補助者が担ってきた仕事を障害のあるスタッフが担っていたからです。彼らが従事している仕事の中から、病棟関係の仕事を抜き出してみると、年間数千時間にもなりました。

これらの実績が施設要件の計算上カウントされていなかったのは、彼らの所属が事務部門だったからです。このため、看護部門と事務部門とで協議し、看護部に所属を移すことにしました。その結果、病棟の仕事に従事している時間数がカウントされ、「急性期看護補助体制」の施設要件を満たす目途が立ったそうです。

この病院では、障害のあるスタッフが担う病棟の仕事を今後も拡大していくそうです。障害のあるスタッフの働きが診療報酬で適切に評価され、病院経営にも貢献することの理解が広まれば、職域拡大の機会も一層広がることでしょう。