専用の作業スペースの見つけ方

医療機関で知的障害や精神障害のあるスタッフを複数名雇用する際には、別々の職場に配置して仕事をする場合のほか、グループで働く場合もあります。職員規模の大きな病院では、雇用するスタッフの数が多いため、専任のジョブコーチを置いてグループで働くケースも多く見られます。このようなケースでは、仕事の種類も多彩にできるため、比較的障害の重いスタッフでも働きやすい利点があります。

グループで働くといっても、常に集団で作業を行うわけではありません。午前中や午後など時間を区切って、個人又はペアを組んで病院内の他の場所に出向いて作業することもあります。それでも、始業時や終業時のミーティングをしたり、院内各部門から受注した業務をまとめて作業する専用のスペースがあると、作業の生産性も高まります。

ただ、病院内には余分な部屋は少ないため、専用のスペースを確保するのに苦労される病院も多いようです。事務部門の職員が働く大部屋の一角をパーテーションで仕切り、そこに作業テーブルを置いて専用コーナーとするケースが多いようですが、院内の小会議室や倉庫代わりに使っていた部屋を転用するケースもあります。病床規模の縮小により閉鎖された病棟の病室を転用した病院もあります。なかには、事務部長が大部屋の事務室に机を移して、部長室を障害のあるスタッフの作業オフィスとしたような、心温まるケースもあります。

実際の事例を見ると、最初は事務室の一角から始めても、作業ぶりが評価され院内から発注される業務量が増えていけば、自然と専用の広いスペースが用意されてくるようなので、まずは始めてみることが大切でしょう。