「早い・丁寧・きっちり」プロ顔負けの会議室設営

病院では部門横断的な様々な会議が頻繁に開催されるため、会議室の設営は作業量の多い仕事です。東京にある独立行政法人の運営する病院の会議室では、100人近い会議から15人前後の会議まで、様々な規模の会議が同じ会議室で開催されています。このため、会議の都度に依頼部署が作った席次表に合わせ、スクール形式にしたり、コの字型にしたりして会場を設営し、余った机や椅子は部屋の片隅に並べます。

この病院で働く障害のあるスタッフは、普段はそれぞれ違う部署に配属されて働いていますが、会場設営の依頼があった時だけ、各部署から集まってチームで作業します。様々な障害のある男女4~5名のチームの中には、てきぱき仕事が早い人、体力があって力仕事が得意な人、きっちり細かいことにこだわる人がいて、それぞれの得意分野を活かして作業をします。会議室への人の出入りや部屋の中のバランスを考え、会議の規模に応じた机の配置を決めるのは、発達障害のあるメンバーです。他のメンバーは、それに合わせて机を整然と並べていきます。

特に指導したわけでもないのに、会議後に職員が剥がしやすいよう、案内の貼り紙を止めるセロテープの端を折る工夫も自分達でしています。会議の資料作りもチームが得意とする業務です。フラットファイルに綴じなければならない枚数の多い資料を30冊、100冊と依頼されることもありますが、インデックスも等間隔で綺麗に貼られていて、まるで業者に頼んだようだと言われます。会議室の設営は、病院内でも多くの職員に関係する業務であるため、障害のあるスタッフの仕事ぶりを知ってもらう良い機会であり、大変評判の良い業務です。