「職員に歓迎される障害者雇用」を目指して

医療機関の経営者・幹部・人事担当の皆さん。皆さんの所属する組織(法人等)では、障害者の法定雇用率は達成できているでしょうか。「達成できている」、「あと少しで達成できる」、「必要性は理解しているがどうすればよいか分からない」など、答えは様々かと思います。さすがに現在では「障害者を雇うことは医療機関の使命ではない」と無視される経営者は稀ですが、法定雇用率そのものに関心がなく、或る日突然、ハローワークから「障害者雇入計画作成命令」を発出すると言われて、慌てて現状を認識される経営者が多いのも事実です。

疾病の予防、治療、リハビリテーション等を通じて、地域住民の健康水準の維持向上に貢献するという医療機関の本来の使命を果たしながら、障害者雇用という産業種別を超えて事業主全体に課せられた法的義務を適切に果たす道はないのでしょうか。この問いに応えるヒントは、医療機関での障害者雇用の先進事例にあります。

現在は一部の医療機関にとどまりますが、障害者雇用を単なる数合わせだけのものにせず、障害者雇用に取り組む過程で病院内の業務の効率化を進めた結果、看護師等の国家資格のある職員が雑務から解放され、本来の仕事に専念できる効果が生じているところあります。このような病院を訪ねると、あちこちで障害者雇用のおかげで助かっていると評価する声を聴きます。ここでは、「職員に押し付けられた障害者雇用」ではなく、「職員に歓迎される障害者雇用」が実現できているのです。

「医療機関の障害者雇用ネットワーク」は、このような「職員に歓迎される障害者雇用」を開拓した医療機関と、それを支援する就業支援機関や特別支援学校、ハローワーク等の経験豊富な人材が参加し、自分たちの事例を他に役立ててもらう「志」で情報交換・発信するものです。

私たちは、「障害者雇用のノウハウは社会全体で共有すべきもの」と考えています。このネットワークを通じて、先進事例に学びながら自ら新たな事例を作り出し発信する医療機関が増え、他産業に比べて遅れている医療現場の障害者雇用が大きく前進することを願っています。

 

「医療機関の障害者雇用ネットワーク」

代表世話人  依田晶男

(参考)「医療機関の障害者雇用ネットワーク」趣意書