院内の意識啓発

医療機関で障害者雇用を進める上では、障害者を雇用することの意義、障害の特性を踏まえた指示の仕方、周囲の配慮等について、職員に対する事前の意識啓発が必要です。このことは、障害のあるスタッフが働く特定の部門だけでなく、医療機関全体に対して行う必要があります。外見上は分かりにくいですが、コミュニケーション等に支障がある者も多く、障害の特性を理解しないままだと、思わぬトラブルが生じることもあるからです。

家族等身近に障害のある方がいればともかく、医療スタッフが一般的に障害のことを理解しているわけではありません。しかしながら、医療専門職としての知識が基礎にあるので、理解はとても速い印象です。

職員への意識啓発のタイミングとしては、職場実習を受ける職場では職場実習に先立ち行い、それ以外の職場では実際に採用が決まって働く迄に行うのが望まれます。職員研修等の機会を設ければ、地域の就業支援機関から講師を派遣してくれるでしょう。

ところで、院内の意識啓発と言っても、実際上一番効果的なのは、障害のあるスタッフが現場で働く姿を見てもらうことに尽きます。きちんと挨拶をしたり、生真面目なほどの丁寧な仕事ぶりに接すると、応援団になる職員も多く現れてきます。先行事例では、職場に雰囲気がよくなったという声も多く聞きます。こうした障害者雇用のもたらす効果についても、先行事例の紹介なども含めて職員に伝えておくと効果的です。